古典的な調和振動は以下のように表される。
周期を用いて、この振動の(位置)期待値を取ると、
つまり、原点に多く存在している「ように」見える。
次に、標準偏差を取ると、
となり、「少なくとも」常に原点にいるわけではないことがわかる。
一方、原点からの距離の期待値は、
となり、やはり原点に質点がいることが多いわけではないことがわかる。
この「いることが多い」という分布関数的な表現を、「滞在時間が長い」という風に解釈し直すと、の区間に質点が滞在する時間は、
で明らかに発散してしまうが、振動範囲内の積分値は有限である。
これの2倍が一周分であり、それは周期に一致している。
したがって、分布関数的なものとしてが定義出来る。
振動の行きと帰りで運動は同じなので、半周期で規格化したを定義すると便利である。
この分布関数を用いて、平均、標準偏差および距離の期待値を求めてみる。
まずは平均だが、であるため、期待値はすぐにゼロとなり、前に求めものと一致する。
次に標準偏差を求めると、
となり、前に求めたものと一致する。
最後に原点からの距離の期待値を求めると、
よって、これも前の結果と一致している。
分布関数は「その位置に質点がいる確率(密度)」を表していて、それが滞在時間と綺麗に対応するのは直感に合っていて、とても気持ち良い。