光・X線・中性子回折/散乱において、構造因子が重要である。
(X線も光であるが、一般的な光散乱とX線回折で使い方が異なるのでここでは分けた)
時間依存性の無い場合には静的構造因子と呼ばれる。
(静的)構造因子は、密度関数のフーリエ変換を指す場合と、密度自己相関関数のフーリエ変換を指す場合がある。
前者はX線回折で、後者は各種散乱実験で使われる。
ここでは、後者の密度自己相関関数のフーリエ変換の正値性について考察する。
の正値性は、より明らかではあるが、具体的に中身を展開したときに一見すると正値性が保たれているか判別付かない。
この関数の和がより小さくなると、は負になる。
ただし、であるため、それはあり得ないということになるが、本当にそうなのかパッとわからない。
そこで、簡単のため一次元の場合にこれを考察してみる。
簡略化としてとし、関数がなるべく負の値を持つことを考え、の場合を考える。
これは粒子が波の逆位相の位置に整列していることに対応する。
そして、よく考えると、一個飛ばした先の粒子とは同位相になる。すなわち。
そのため、関数の値はプラスとマイナスが混合することになる。
和を計算して評価すると
ここで、はが偶数の時に1、奇数のときにゼロとなる特性関数である。
同様に、はが奇数の時に1、偶数のときにゼロとなる特性関数として定義しておく。
よって、
したがって、今の設定において
が示せた。不等式で書いているが、今の場合にはほとんどイコールである。つまり、全体としてほぼゼロになる。
逆に言えば、全体としてほぼゼロになるのは、逆位相に粒子が配列しているときということになる。
逆位相ではなく、同位相に粒子が配列するときには、関数が常にとなるため、が大きな値を持つ。
一方、粒子が波数の持つ周期に対して等間隔、もしくは乱雑に位置しているとき、関数の和の部分は打ち消しあってゼロになり、となる。
このように、が正値を持つことを、具体的な場合を考えて考察することができた。