この手の問題は、ついつい当たり前として証明をサボってしまうので、一つ一つ丁寧にやっていくことにする。
体において、とすると、
となる逆元が存在する。
は和において単位元の役割を果たす。
この時、逆元が唯一つしか存在しないことを、単位元および逆元の性質、交換律そして結合律を使って証明する。
証明の方法としては、背理法に属すると思われる。
背理法の厳密な定義については、以下を参照。
koideforest.hatenadiary.com
「逆元が以外に存在する」と仮定して、そこから「何かしら」の矛盾が引き出せればそこで証明完了となる(仮定の否定が真になる)。
「逆元が以外に存在する」を定式化すると、
となる。
ここから「何かしら」の矛盾を示せば良いが、「」が既に現れているため、「」を目指せば矛盾を導き易そうだなと発想する。
まずは単位元の性質から、
次に、仮定より
結合律を使って、
交換律を使えば、
逆元の性質から、
交換律より
単位元の性質から、
したがって、が言えたので、仮定であると矛盾し、仮定の否定「逆元は以外に存在しない」=「逆元は唯一つ」が真であることを証明出来た。
上の操作は、結局、「」、つまり「項の移行」を厳密に行ったということに他ならない。
「項の移行」の操作をまとめれば、
と言える。