前回、実ポテンシャルに対する光学定理を導いた。
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今回は、複素ポテンシャルだが、波数は実数である時の光学定理を考える。
これは、無限遠方ではポテンシャルの虚部が完全に無くなっている場合に対応する。
導出は前回とほぼほぼ同じで、違うのは連続の式にポテンシャルの虚部が入ってくることである。
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定常状態では、密度の時間微分は落ちるので、
確率流密度の積分は、前回の結果をそのまま流用出来るので、
を で割ると面積の逆数の次元なので、体積積分すると長さの次元になり、それにを掛ければ全体としてちゃんと面積の次元になっている。
したがって、
であることを考えば、のときにとなって減衰し、と対応していることがわかる。
このとき、となって確率が増幅するが、これは外向波の時間反転が内向波に対応することを考えると納得出来ると思う。
- 入射波 -> 非弾性散乱で減衰 -> 外向散乱波
- 内向散乱波 -> 非弾性散乱で増幅 -> 入射波
散乱振幅は、位相シフトから求めることが出来るので、直接を求めなくても、で求めることが出来る。
位相シフトは、ポテンシャル境界で決まる性質なので、これはつまり「全空間の性質が境界(表面)の性質で決まる」ことを表している。
これは結構面白いのではないだろうか?