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基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

線積分と線分

昔から線分を求める積分が苦手だった。アステロイドとかサイクロイドとかアンドロイドとかがその所為もあってか苦手。
一方、ベクトルが出て来てから線積分は別に何とも思わなくなった。
が、しかし、 \int d\vec{r}では積分を行う軌跡上のベクトルを足していくため、閉曲線ではゼロになる。なんか線積分と線分の関係がしっくり来ないと思って考察した。

ステロイドの線分を求めるのをやらされるのは、大体公式に当てはめるみたいな感じで教わることが多いと思っている。
自分はイメージ(理解)無しで覚えるのが苦手なので、頭に全く残らなかった。
物理を扱うようになって思ったのは、線分を求めるよりは、積分を行う軌跡上に射影した、つまり \int \vec{V} \cdot d\vec{r}を計算することが多いということ。あまり線分は出て来ない気がする。

まぁ式にしてしまえば何てことないのだが、簡単のため二次元を考えて、ある軌跡上の線分を求めるには、

 \displaystyle \int |d\vec{r}| = \int \sqrt{ dx^2 + dy^2 } = \int \sqrt{ ( \frac{dx(s)}{ds} )^2 + ( \frac{dy(s)}{ds} )^2 } ds

「微少量の線分を足しまくる」というただそれだけをすれば良い。媒介変数表示、いわゆるパラメータ(ここではs)が出てくるが、これは軌跡上で積分する以上、軌跡の方程式が無いといけない訳で、 x = \sim y = \simというのを記述するための変数がどうしても必要になる。
多分、このパラメータが無いといけないのが、結構ハードルが高くて、普通は被積分関数の振舞を気にしていれば良かった( dxとかは一次元的で、その間隔とかはあまり意識する必要がない)のが、 |d\vec{r}|になると dx dyを独立に積分することが出来ないため、割とパニックになる。それでパラメータを入れたら、積分の中身が普通の xとかではなく微分が来るから、暗記するには自分にはキツイ。

さらに質が悪いことに、簡単な例と思って単位円を持ってくると、 x = cos\theta y = sin\thetaだから、

 \displaystyle \int^{2\pi}_0 \sqrt{ ( \frac{dx(\theta)}{d\theta} )^2 + ( \frac{dy(\theta)}{d\theta} )^2 } d\theta = \int^{2\pi}_0 \sqrt{ (-sin\theta)^2  + (cos\theta)^2} d\theta = 2\pi

これは、誤って微分ではなく普通の x, yを突っ込んでも同じ解が出て来てしまう。

 \displaystyle \int^{2\pi}_0 \sqrt{ (cos\theta)^2  + (sin\theta)^2} d\theta = 2\pi

単位円ではない例も必要だろう。
 y=xの曲線を y=t x=tとして t=[0:1]で積分すると、

 \displaystyle \int^1_0 \sqrt{ ( \frac{dx(t)}{dt} )^2 + ( \frac{dy(t)}{dt} )^2 } dt = \int^1_0 \sqrt{ 2 } dt = \sqrt{2}

これは単位長さの正方形の対角線の長さをキチンと表せている。間違たver.では、

 \displaystyle \int^1_0 \sqrt{ ( x(t) )^2 + ( y(t) )^2 } dt = \int^1_0 \sqrt{ 2t^2 } dt = \frac{ \sqrt{2} }{ 2 }

となり、答えを間違う。ちなみにこの間違った答えと同じ線分を与えるのは、 x = y = t^2/2であり、 t=[0:1]の範囲では x=y=tよりも進みが遅い。それ故に軌跡は同じだが、線分が短くなるということになる。

単位円だけをモデル(分かり易い例)に持ってくるのは、時として危険だなぁと思った次第である。