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基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

ブール領域を用いたエンタングルメントの説明。

ブール領域  \mathbb{B}:=\{0, 1\} の直積の部分集合として、以下のものを考える。

\mathcal{C} := \{ (0, 0), (1, 1) \} \subset \mathbb{B} \times \mathbb{B}

これは、次の様に書くことが出来ない。

\mathcal{C} \neq \{ (b, b') | b \in \mathbb{B}, b' \in \mathbb{B} \} = \mathbb{B} \times \mathbb{B}
これを、ここでは「分離不可能」と言うことにする。

一方で、次のようなものは分離可能である。

\mathcal{C}_1 := \{ (0, 0) \}
\\
\mathcal{C}_2 := \{ (1, 1) \}
\\
\mathcal{C}_3 := \{ (0, 1) \}
\\
\mathcal{C}_4 := \{ (1, 0) \}
\\
\mathcal{C}_5 := \{ ( 0, 0 ), ( 0, 1 ), ( 1, 0 ), ( 1, 1 ) \} = \mathbb{B} \times \mathbb{B}

よって、部分集合を取れば何でもよい訳ではなく、 \mathcal{C} は特殊な状態であることが分かる。

参考文献:圏論量子力学入門

追記(2021/03/28)
上の定義で言うと、分離不可能な部分集合は結構ある。

\mathcal{C}^c := \{ (0, 1), (1,0) \}
\\
\mathcal{C}_1^c := \{ (0, 1), (1,0), (1, 1) \}
\\
\mathcal{C}_2^c := \{ (0, 0), (0, 1), (1, 0) \}
\\
\mathcal{C}_3^c := \{ (0, 0), (1, 0), (1, 1) \}
\\
\mathcal{C}_4^c := \{ (0, 0), (0, 1), (1, 1) \}
水素分子的に言えば、 \mathcal{C}はイオン状態で、 \mathcal{C}^cは原子状態に対応させることが出来る。
なので、もつれている部分集合の中でも、性質の良いものだけを抜き出して何か数学的な構造が出来ると面白そう。
こうしてみると、量子論だけでなく、もっと普遍的にエンタングルメントが存在して何かしらの機能を果たしているような気もする。