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基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

誕生日のパラドックス:「私」か「全員」か

たまたま見つけたやつ。
【オリジナル】「誕生日が同じだった運命のふたりの漫画。」漫画/山本アリフレッド [pixiv]
30人のクラスの中で、同じ誕生日のペアが出来る確率は7割だから、誕生日が同じなのは奇跡ではない、というもの。
これについて、「『私と』ではなく『クラスの中で』と言っているから、指摘は正しい」というコメントが有って、確かにと思った次第である。

365人の集団が全てバラバラの誕生日を持っていたとする。
この時、

「無作為に一人選んだ時に、その人がある特定の誕生日を持つ確率」 = 1 / 365

であるが、

「この365人の中で、ある特定の誕生日を持つ人がいる確率」= 365 / 365 = 1

であるため、「私」なのか「集団」なのかで話が全然違ってくる。

つまり

「30人のクラスの中で、自分と同じ誕生日を持つ人がいる確率」= ( 30 - 1 ) /365

であるから、自分と同じ誕生日の人がいる確率は数パーセントである。
更にこの集団を、「自分が好きな人」というフィルターをかければ、その確率はグッと低くなる。十分奇跡と言えるだろう。

ちなみに、「30人のクラスの中で、複数の人が同じ誕生日を持つ確率」は、「全員が違う誕生日を持つ確率」の余事象を使って求めることが出来る。
同じ誕生日の二人組がいる確率について | 高校数学の美しい物語

 \displaystyle
P = 1 - \bar{ P } = 1 - \frac{ 365 - 1 }{ 365 } \frac{ 365 - 2 }{ 365 } \cdots \frac{ 365 - ( 30 - 1 ) }{ 365 } \sim 0.706

bar_p = 1.
for i in range( 30 ):
  bar_p = ( 365 - i ) / 365
p = 1. - bar_p
# p = 0.706316...

個人的には、パラドックスというよりかは説明不足のような気もする。
問題文は大事です。