四つ足で御馴染みのメタンの分子軌道が、固体におけるLiebフラットバンドが現れる構造と同じということで、テンションが上がった。
以下の簡単な飛び移りだけを考えたハミルトニアン行列の固有値と固有ベクトルを求める。
対角成分(各原子上でのエネルギー)は簡単のためゼロにしてある。
import numpy as np import sympy as sm t = -1.0 h = np.zeros( ( 5, 5 ) ) for i in range( 5 ): for j in range( 5 ): if i == 0 and j != 0: h[ i ][ j ] = t elif i !=0 and j == 0: h[ i ][ j ] = t # [ [ 0, t, t, t, t ], # [ t, 0, 0, 0, 0 ], # [ t, 0, 0, 0, 0 ], # [ t, 0, 0, 0, 0 ], # [ t, 0, 0, 0, 0 ], ] H = sm.Matrix( h ) H.eigenvects() #1. -2.0, [ 2.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0 ] #2. 0.0, [ 0, -1.0, 1.0, 0, 0 ] #3. 0.0, [ 0, -1.0, 0, 1.0, 0 ] #4. 0.0, [ 0, -1.0, 0, 0, 1.0 ] #5. 2.0, [ -2.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0 ]
今、遷移行列が負なので、1.の固有状態において節が無く広がっている(飛び移る)と安定になり、5.の固有状態において節が出来ると不安定になる様になっている。
Liebフラットバンドにおいて重要なのは、ゼロ固有値を持つのにヌルでない2., 3., 4.の状態である。
メタン的に言えば、単に「炭素上に節を持った状態」もしくは「非結合軌道」で終わってしまうところだが、もうちょっと言えば「水素上に波動関数が局在した状態」であり、「飛び移れるのに飛び移らない状態」が生じている。
今の計算は完全に有限系であるが、酸化物のReO3は正にLiebフラットバンドを持つ理想的な三次元構造を持っていて、バンド構造にもめちゃくちゃ平らなバンドが現れている。
でもパッとググったところ、誰も何も言っていないっぽい。まぁ普通にフェルミエネルギーがフラットバンドよりも上で金属だから、フラットバンド由来の物性が多分無いからだと思うが。。。
前に「飛び移りがあるのに飛び移らない状態があるのは普通なのか?」と悩んだことがあったので、自分の疑問が正当化された感じがした次第である。