前回、Sommerfeld展開についてまとめた。
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今回は、(状態密度)として適用し、化学ポテンシャルの温度依存性について調べる。
ここで、 とすると、Tayler展開を用いて次のように書ける。
ここで、自由電子の状態密度が
であるため、となることに注意すると、の低温条件(低温と言えど普通室温も含まれる)で、
とできる。これは第二項が既にのオーダーであるため、 のTayler展開は一次で十分となる。
式から読み取れることをまとめると、
- のときには、化学ポテンシャルは温度で変化しない。
- 化学ポテンシャルが増えるか減るかは、 の符号で決まる。
- ただし、低温領域()での近似式なので、状態密度がを中心に左右非対称であればでも高温条件で温度変化が起きる。これはFermi分布関数の形から言えることである。
- 逆に言えば、状態密度がを中心に左右対称の場合、化学ポテンシャルは変化しない。
- 自由電子の場合には、常に であるため、化学ポテンシャルは減少する。
化学ポテンシャルは一般に計算しにくい量なので、何となくの振る舞いがわかるだけでも、イメージし易くなって良いと思います。