(系の)ビリアルとは以下の量のことを呼ぶ(らしい)。
古典(質点)力学においては、変数は時間であるため、これは時間平均量として解釈出来る。
ビリアル定理とは、
- ポテンシャルエネルギーが座標の同次関数
- 系の運動が有限領域内に限られている
場合に成り立つ、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの関係であり、次の形で与えられる。
例えば、クーロンポテンシャルではであるため、
という関係があることが分かる。
逆にこれを利用することで、例えばオリジナルのポテンシャルでは解きにくいから近似を入れるような時に、「ビリアル定理をなるべく破らないように近似を入れる」という指針を立てることが出来る。
以下、ビリアル定理を証明する。
運動エネルギーは、速度に対して二次の同次関数であるため、同次関数に対するオイラーの定理が成り立つ。
確認しておくと、
同様に、ポテンシャルが位置に対して次の同次関数である条件の下では、
と表される。
ここからは、上手い式変形を使って、とが繋がるところを見る。
運動量を用いれば
最後の式変形には、運動方程式を用いている。
一応、もう一度まとめておくと、
ここまでは厳密に成り立つ。が同次関数であることも、有限領域の運動であることも使っていない。
が同次関数であれば、
と簡単になる。
更に、運動が有限領域に限られる場合、(時間)平均を取ると、
よってビリアル定理が得られた。
参考文献:ランダウ=リフシッツ(力学)