nano_exit

基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

特殊相対論の計量テンソルと4元ベクトルの内積

計量テンソル g_{ \mu \nu }を以下のように定義。

 \displaystyle
\begin{align}
g_{ \mu \nu } = \left\{
\begin{array}{rl}
 1, & \mu = \nu = 0 \\
 -1, & \mu = \nu = 1,2,3 \\
 0, & \mu \neq \nu
\end{array}
\right.
\end{align}

それで以下の4元ベクトルの内積が、ローレンツ変換で不変であることが特殊相対論の特徴であった。

 \displaystyle
\begin{align}
g_{ \mu \nu } x'{}^\mu x'{}^\nu = g_{ \mu \nu } x^\mu x^\nu
\end{align}

で、これはアインシュタインの規約を用いているから実際には和である。
しかし、頭ではわかっているのだが、心がどうも胡散臭く感じているので、全部展開してみた、というのがこの記事の目的。


\begin{align}
g_{ \mu \nu } x^\mu x^\nu
= g_{ 0 0 } x^0 x^0
 + g_{ 1 0 } x^1 x^0
 + g_{ 2 0 } x^2 x^0
 + g_{ 3 0 } x^3 x^0 \\
 + g_{ 0 1 } x^0 x^1
 + g_{ 1 1 } x^1 x^1
 + g_{ 2 1 } x^2 x^1
 + g_{ 3 1 } x^3 x^1 \\
 + g_{ 0 2 } x^0 x^2
 + g_{ 1 2 } x^1 x^2
 + g_{ 2 2 } x^2 x^2
 + g_{ 3 2 } x^3 x^2 \\
 + g_{ 0 3 } x^0 x^3
 + g_{ 1 3 } x^1 x^3
 + g_{ 2 3 } x^2 x^3
 + g_{ 3 3 } x^3 x^3 \\
= g_{ 0 0 } x^0 x^0 + g_{ 1 1 } x^1 x^1 + g_{ 2 2 } x^2 x^2 + g_{ 3 3 } x^3 x^3 \\
= x^0 x^0 - x^1 x^1 - x^2 x^2 - x^3 x^3 \\
= (ct)^2 - (x)^2 - (y)^2 -(z)^2
\end{align}

まぁ、やる前から当たり前だが、やった後だともっと当たり前に感じることが出来るようになった。
要は、

 \displaystyle
\begin{align}
g_{ \mu \nu } x^\mu x^\nu = g_{ \mu \mu } x^\mu x^\mu
\end{align}

であることが既に明らかであるから、愚直に全部展開することまでする必要はなかった。

一般性を保つならば、記号を分けておいた方が良いことは良いが、一度は(必要とあれば何度でも)アホなことをするのは大事だと思った次第である。