Sommerfeld展開は、Fermi分布関数 が掛かった関数の積分値に関する展開式で、以下のように表される。
室温程度であれば、(が十分滑らかな関数である限り) 第二項までの打ち切りが良い近似として成り立つことが知られている。
この展開を導出してみることにする。
先に数学的な項目をまとめ、その後に導出を議論する。
- 公式等々
この展開の導出には、以前の記事で紹介した公式(?)が役に立つ。
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次の式変形に慣れておくと、この先で少し楽になる。
したがって、 は偶関数である。
考えたいのは、次の積分である。
この積分が求まれば、Sommerfeld展開は7割ぐらい終わったと言っても良いと思う。
が奇数だと、被積分関数が奇関数なのでゼロになる。
一方、 が偶数 だとすると、
第一項はゼロになるため、第二項のみが残る。
第二項では積分公式が使えるので、
最後の式変形までは要らないかもしれないが、一応 を使ってまとめた。
例えば、 のとき、, であるため、
と求まる。
ただし、 は例外扱いしなければならない(不定になる)。
- Sommerfeld展開
まず、の積分値を定義しておく。
であることがポイントである。
これによって、積分をで表すことが出来る。
第一項はゼロになるため、第二項が重要であることがわかる。。
ここで、 は 近傍でのみ値を持つ( でdelta関数に帰着する)ので、積分の中の についても 近傍だけ考えれば良い。
したがって、 を 近傍でTayler展開すると、
ここで、上で導出した公式を利用するために、 であると仮定する。
近傍が重要であることを思い出すと、積分範囲の下限を無限大に飛ばしても積分値への影響は少ないはずなので、良い近似として成り立つと期待できる。
これによって、公式が利用できる。
これで、Sommerfeld展開の導出が完了した。