nano_exit

基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

ゼロとの掛算はゼロに戻る証明。

和の単位元0は、あらゆる積の演算に対して自分自身に戻る。
この性質は、体の定義には含まれておらず、定理として導かれる。
そこで、体 Kに含まれる元 a \in Kに対して、 0a = 0であることを証明する。

先に、後で使う定理を導いておく。
 b + b = b \Leftrightarrow b = 0
以下証明。和の単位元0の性質より、

\displaystyle
b = b + 0 = b + ( b + (-b) )
 b + b = bであるから、

\displaystyle
b + ( b + (-b) ) = ( b + b ) + (-b) = b+ (-b) = 0
\\
\displaystyle
\therefore
b = 0
「自分自身と足して自分自身に戻るものはゼロ」ということを表している。

以下、お目当ての証明に戻る。
前回の時もそうだが、単位元0を如何に弄り倒すかがポイントのように思われる。
koideforest.hatenadiary.com

和の単位元0の性質から、

\displaystyle
0a = ( 0 + 0 )a
分配律(和と積が混ざる唯一の律)より、

\displaystyle
( 0 + 0 )a = 0a + 0a
したがって、先に示した定理を使えば、証明が完了する。

\displaystyle
0a = 0a + 0a \Leftrightarrow 0a = 0