nano_exit

基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

任意の二つの量を三角関数で表す


\displaystyle
a + b
  = \sqrt{ a^2 + b^2 } \left( \frac{ a }{ \sqrt{ a^2 + b^2 } } + \frac{ b }{ \sqrt{ a^2 + b^2 } } \right) 
  \equiv r \left( \cos\delta + \sin\delta \right)

この時、以下の関係を満たし、三角関数の枠内に収まる。

\displaystyle
0 < \cos\delta < 1, \quad 0 < \sin\delta < 1,
\\
\displaystyle
\cos^2\delta + \sin^2\delta = \frac{ a^2 }{ a^2 + b^2 } + \frac{ b^2 }{ a^2 + b^2 } = 1

振動を扱っていると、よく見かける変形である。

例えば、次のような同じ周期の三角関数の合成を考えると、

\displaystyle
a \cos\theta + b \sin\theta
  \equiv r \left( \cos\delta \cos\theta+ \sin\delta \sin\theta \right)
  = r \cos( \delta - \theta )
  = r \cos( \theta - \delta )
よって合成後に位相がずれるだけで済む。

位相のズレの大きさは、
 
\displaystyle
\delta = \tan^{-1}( \tan\delta ) = \tan^{-1}( b / a )
で求まり、 b \gg a のとき  \delta \sim \pi / 2 であるから、 \cos( \theta - \delta ) \sim \sin( \theta ) のようにちゃんと \sin関数に引きずられることがわかる。

今、係数 aの方を \cos関数にしたが、もちろん逆に \sin関数で定義しても良い。
その場合、合成後は  \sin( \theta + \delta ) として表すことができる。
位相のズレを正符号で定義したい場合には、こちらがオススメ。