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基礎的なことこそ、簡単な例が必要だと思うのです。

調和振動子と平面波の比較

零点振動している調和振動子と同じエネルギーを持つ平面波とで波動関数を比較する。

\displaystyle
l_0
= \sqrt{ \frac{ \hbar }{ m \omega } }
\\
\displaystyle
\xi
= \frac{ x }{ l_0 }
\\
\displaystyle
\psi_n( x )
= A_n H_n\left( \frac{ x }{ l_0 } \right) e^{ - \frac{1}{2} \left( \frac{ x }{ l_0 } \right)^2 }
= A_n H_n( \xi ) e^{ - \frac{ \xi^2 }{ 2 } }
\\
\displaystyle
A_n
= \sqrt{ \frac{ 1 }{ 2^n \; n! } } \; \sqrt{ \frac{ l_0 }{ \sqrt{ \pi } } }
\\
\displaystyle
H_0
= 1
\\
\displaystyle
E_0
= \frac{ \hbar \omega }{ 2 }
最後ら辺、サボりました。

ここで、 E_0 = E_kとして自由平面波のエネルギーを代入して、波数と有効距離 l_0を結びつけると、

\displaystyle
l_0
= \sqrt{ \frac{ \hbar }{ m } \frac{ \hbar }{ 2 E_k } }
= \sqrt{ \frac{ \hbar^2 }{ m } \frac{ 2 m }{ 2 \hbar^2 k^2_0 } }
= \frac{ 1 }{ k_0 }
綺麗に有効距離の逆数になる。

これで求めた k_0を持つ平面波( cos( k_0 x ) )を n=0調和振動子波動関数と比較する(規格化定数は無視)と、全体で一周期分をちょっと超えたかなくらいの波が調和振動子の中に入っていることがわかる。
f:id:koideforest:20180110005333p:plain

もう少し厳密に見てみると、 k_0を逆に固定して、 k_0 x_0 = \piとなる x_0における調和振動子(係数は無視)の値を求めると、

\displaystyle
e^{ - \frac{1}{2} \left( \frac{ x }{ l_0 } \right)^2 }
= e^{ - \frac{1}{2} ( k_0 x )^2 }
\rightarrow e^{ - \frac{1}{2} ( k_0 x_0 )^2 }
= e^{ - \frac{\pi^2}{2} } = 0.00719... \sim 0.01 \ll 1
したがって、十分小さいと見なせるところまでの範囲で、平面波一周期分が入っていることがわかる。

思っていたよりも調和振動子と平面波の対応関係がしっかりしていてビックリした。
原点近傍でポテンシャルがゼロに近くなるから、その近傍で自由解に近づくから当然といえば当然であるが。
自由解だけ波動関数があるような領域は、運動エネルギー(波動関数)ではなくポテンシャル項によってエネルギーが補填されているんだなぁとしみじみ感じた。