そもそも分子分母が多項式の時点でやる気がなくなる。すごくやりたくない。苦手意識が強い。
でも多分それは処方箋が頭に入っていないだけ。
今回は対処法を簡単に考察する。
例えば、球ベッセル関数を球ノイマン関数で割ったものにおける原点近傍の振舞が知りたいとする。
それぞれの関数の原点近傍 での振舞は、
こういう多項式同士を割ったものの式をどうやって解すか?というのが今回の焦点。
どこまで多項式の中身を残すかで近似の精度が変わるが、のよくあるパターンとして「0次の次の項まで残す」ことが挙げられる。
最初にこの手のものに出会った時にまず思ったのは、「なんだから多項式の中身は"1"で良くない?」。
こうしなきゃいけないということは基本的にはないはず。でもその慣習みたいなのがあるから、ここで「なんで?」とつまづくと式のグチャグチャ加減から見通しがかなり悪ってしまうと思う。
個人的には、この「一個上も一応入れとく」というノリは、いわゆる有効数字の扱いに近いと思う。あまり重要でないけれど、切り落とし過ぎると気持ち悪い。どこまで正しいのかハッキリしなくて安心出来ない感じ。
多項式の初項だけ残せばもちろん計算は超楽だけど、例えば、それをさらに別の関数に掛けたりした時に一個上の項が効いてくる場合もある。その精神安定剤として「一個残し」は重要だと思う(もちろんどの次数までの近似にしたいかで話は変わってくるが、そういうことがわかる人は多分特に悩んでいないと思う)。
なので、多項式の中身を まで残すとする。
安直に割ると、
ここからどうしようとなるのが、
である。
部分分数分解を用いて、としても良いが、結局分母をどうするかという問題は残る。この話は後でまた触れる。
ここで、なので、マクローリン展開で分母を無くす。
最後のところは、つまり[\rho]の4次の項を無視しただけで、式変形自身はいつも通りである。こんな感じで、多項式の中身としてはと同じオーダーで表すことが出来た。
これを部分分数分解を間に挟むとどうなるか?
ここでマクローリン展開を使うと同じ解が得られるが、それだったら最初からマクローリン展開を使った方が見通しが良い。問題は、分母に対して としてしまっても同じ答えになる点である。それを許してしまうと、最初から分母にの近似をして良いではないか!となり、それによって答えが変わってしまう。
つまり、
にしてしまうと答えが変わる。
そのため、分母に多項式が来て、かつ無限遠ではない有限の点近傍の振舞が知りたい場合には、テイラー展開によって分母を無くすことを考えた方が無難に思える。