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コーシー・シュワルツの不等式の幾何学的考察

「シュワルツの不等式」の判別式による導出に関する考察。

ちなみにシュワルツの不等式(ベクトルに)は(クーラントヒルベルトの「数理物理学の方法(上)」参照)
ベクトル \vec{a}, \vec{b}に対して、
 \displaystyle
  \vec{a} \cdot \vec{b} \leq |\vec{a}|^2 |\vec{b}|^2
が成り立つというものである。

ここではベクトルは実ベクトルに限定して話を進める。
 \displaystyle
  |\vec{a} x + \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 x^2 + 2 \vec{a} {\cdot} \vec{b} x + |\vec{b}|^2 = 0
となる xを求めるときの条件として、 x複素数であることを課すと、 xについての二次方程式の判別式から不等式が得られる。
これを二次元実空間に限定してもうちょっと考える。

 \displaystyle
  |\vec{a} x + \vec{b}|^2 = 0

はつまり、「 \vec{a}を何倍かして \vec{b}に足したらゼロベクトルになるか」ということを聞いているのであって、そんなものは、 \vec{a} \vec{b}がもともと同じ方向の時、つまり線形従属の時しかないじゃん!というのが判別式のノリであり、その線形従属の時にのみ等号が成り立つ。
一方で、 x複素数のときには線形従属でなくてもベクトルの和がゼロになる場合があるということも示している。これは何を意味しているか?

 \vec{a} = (1, 0), \vec{b} = (0, 1)の最も単純な直交ベクトルを考えると、 x ^2 + 1 = 0、つまり x = \pm iである。
虚数をそのまま考えるとキツイが、実は iは二次元行列において90度回転を表している。  iの行列表現 I

 \displaystyle
I =
\begin{pmatrix}
0 & -1 \\
1 &  0
\end{pmatrix}

であり、二乗すると単位行列にマイナスがかかったものがちゃんと得られる。これは正に \theta = 90^{\circ}のときの回転行列に他ならない。
結局、ベクトルを回すという反則技を使えばどんなベクトルでも何倍かして足すとゼロに出来るわけで、まぁそうかという気がする。